「俺……死にたいんだ。ずっと死にたかった」
「…やめろ、天道」
「でも俺、弱いからひとりじゃ死ねないんだよ。だからみんなを爆破させて絃ちゃん殺して……俺も死ぬよ」
また俺は、生き残るのか───?
俺だけ生き残って、暗闇の中に蓋をされるのか…?
せっかく手にした光を、せっかくこの腕に本当に抱けるようになった光を。
俺はまた……守れないのか…?
「天道、俺が一緒に死んでやる…、だからやめろ。絃だけはやめろ…頼む、」
「無理だよ絃織さん。だってこの子強いんだもん。絃ちゃんすっごい強いから…死ぬのが怖くないんだよ、俺」
あぁ、そうだ。
お前の気持ちは誰よりも分かる。
こいつは強いんだよ。
だから一緒にいると俺まで強くなれたような気がして。
赦されたような気持ちになるんだ。
「やめろ天道…、俺の父親と同じ道を辿ろうとしてんじゃねえよ、」
「はは、いいんだよ俺、もう家族に会いたいもん…」
死ぬな、やめろ。
そんな言葉じゃ何ひとつ天道には響かない。
「…施設で……好きなご飯、なんだった……?」
それは突然に、唐突に。
突拍子もない言葉をこうして言うところは組長に似ている。
確か最初もこいつは「好きなお寿司のネタはつぶ貝です」なんて挨拶していたか。
「クリスマスとか、お正月とか、そういうイベントのときはケーキとかちらし寿司とか出たけど……陽太は何が好きだった?」
絃はその銃口に怯えることなく、ポツポツと話し出す。



