光を掴んだその先に。

那岐side




「おかえり2人共。あ、デート帰り?」


「そ、そんなんじゃないよ…!!参考書買いに行ってたの!」



ほら!と、絃は天道の前に本屋のロゴ入りの袋を見せる。


つうか、あれはどう考えてもデートだろ。
なに否定してんだこいつ。

とも思ったが、いろいろ噂立てをされるのも困るため、ここは我慢だった。



「じゃあ私着替えてくるっ」


「絃、」


「ん、なぁにー?」


「…またあとでな」



ボッ!っと顔が真っ赤になるそいつは、見ているだけで面白い。

“かっこいい”なんて俺に言ってきたが、俺だって“かわいい”と毎日のように思っている。


それはもう昔から。

今だって、昔とはまた違った可愛さに毎日堪えるのに必死だ。



「ごめんね絃織さん」


「…なにがだ」



絃が部屋へ戻っていくと、天道は俺に一歩近寄った。

こいつの笑顔は裏に何かを隠しているからこそ俺も油断ならない。


それは近々俺にとてつもない何かを与えてくるだろうと。

そして俺のことを誰よりも恨んでいる男は、きっとこいつだ。



「俺がね、ビデオカメラ観せたんだよね」


「ビデオカメラ…?」



そういえば、祭りのあの日もそんなことを言っていたか。