公園の裏口から出たはいいものの、空き地の広がる人目の通らない場所に出てしまった。
追っ手はまだ自分たちをターゲットとしている。
それなのに怠くなる足は鉛のように重く、上手く動かすことができない。
『あ……、』
ドサッと、小石に躓いた身体は幸い芝生だったこともあってふわっと浮いた。
腕の中に隠すように少女を収めて身を屈める。
ザッ、ザッと近付く音は、あっという間に幼い2人を影で覆い隠した。
『誰だ…、俺たちに何の用だよ』
『優しいねェお兄ちゃん。よしよし、良く頑張ったね』
『触るなっ!!』
まるで子供扱い。
ポンポンと頭に乗せられた手がこの上なく恐ろしくて、震える手を何とか動かしてパシッと払った。
『なぎ…?だいじょうぶ?なぎ、』
途端にうわぁぁぁんっと泣き出す絃のつぶやきに、男たちはピクリと反応。
『おいおいマジかよ、こいつナギっつったか?俺の知る“那岐”なんかやべェ殺人犯なんだがな』
『んなわけねェだろ。あの事件で那岐組は全員死んだはずじゃねェか』
そうだよ当たりだよ。
って言ったらあんたらは今すぐ怯えて逃げてくれるのか。
いや、もっと笑い出すはずだ。
それは俺にはまだ力も権力も身分も、何ひとつとして無いからだ。