「おいてめえら!!」
すると父は今度、全員に聞こえるように大きな声を放つ。
ガヤガヤと賑やかだった場所が一気に静まり返った。
え、なに……?
また急に怒ってどうしたの…?
「これは俺の愛娘が人助けしてまでも運んだケーキだ。心して食え!!」
「「「へ、へい!!!」」」
一斉に男たちはホールケーキを囲んだ。
いちばん大きいサイズを買ったはずなのに、こんなにも小さく見える。
「「「お嬢!いただきます!!!」」」
「…あ、うん」
そんな頭も声も揃えて言ってくれなくても…。
「どうだ、美味いか」
「「「美味いっす!!最高っす!!」」」
「そうだろう、俺と絃織の分は残しとけよ」
「「「へいっ!!!」」」
こういうの、なんて言うんだっけ。
親バカ……?
「ふふっ、あははっ!!」
こんなにも心から笑える日が、この場所でくるなんて最初は思ってなかった。
やっと家族が全員揃ったような気がする。
施設とはまた違って大人ばかりで、男ばかりのむさ苦しい場所だけど。
「やっぱ絃は美鶴似だな。なぁ、絃織」
「…どうですかね」
この人たちが私の家族。
そしてここが、私の家なんだ。
*



