ドロッドロに溶けたアイスケーキを、スプーンですくうように食べてくれる2人の男。
なんかもうぐっちゃぐちゃで見た目から食欲すら湧かないのに…。
それでも「美味い」と言って口にしてくれる。
「あら、私もご一緒していいかしら剣さん」
「お、雅美じゃないか。見ないうちにまた太ったか?」
「剣さん?」
「…冗談だ」
わぁ、雅美さんの黒いオーラにはお父さんでさえも敵わないらしい…。
妖艶に微笑んでから、彼女はスッと那岐の隣に座った。
「お誕生日おめでとう、絃織ちゃん」
「忙しいのにわざわざ悪いな姉さん」
「いいのよ、いつも遅れて祝うことしか出来なかったもの。
今年は新しい顔もいるし、やることは投げ出してきたわ」
私にパチッとウインクを送った雅美さんは、やっぱりすごく綺麗な人だ。
こうしてこの場に集まっていい女は彼らの身内だけ。
その1人である、雅美さんと私。
「おお、やっとるな」
「組長…!!」
男たちはサッと老人の通る道を作った。
座布団を持ってくる者、手を差し出して支える者、そのまま私たちのほうへ向かってくるおじいちゃん。
「剣よ、絃は美鶴に似すぎじゃ」
「そりゃ俺と美鶴の娘ですから似て当然でしょう」



