「これであとは溶かさず持ち帰るだけっと!」
ふんふんと鼻歌を口ずさみながら、ケーキ屋を後にする。
両手にしっかり抱えたホールケーキ。
約1時間分のドライアイスも入れてもらったし、まだこの時間ならギリギリ門限も守れそうだ。
「アイスケーキを発明した人には感謝してもしきれないよねぇ」
ケーキを食べない、なんて言われたときはどうしようかと思ったけど…。
でもアイスは好きということを知った。
「那岐がアイス食べるって……ふふっ、ちょっと可愛いかも」
それに今日は使用人にいつもより豪華な食事をお願いしておいた。
まぁいつもそれなりに豪華なんだけども。
「計画通り!うまく進んでるっ!」
思わず飛び跳ねたい気持ちだけど、そんなことをしてしまえばケーキが水の泡。
余計にアイスだから繊細に作られてるはず。
危ない危ない…。
「売り切れ?」
「すみません…。少し前に完売してしまって……」
「これから作ることはできないか?」
「材料を取り寄せてからだと、早くて明日になってしまいます…」



