「結月はとりあえず、架空になりつつある人を忘れなきゃ、先に進めないわよ」
そうなんだよね。
中学の時に助けてくれた人がずっと好きだって未菜には言ってるから。
まずはお付き合い云々の前に架空ではない好きな人を作らないと何も始まらないんだもんね。
そう思ったとき、何故か高槻先輩の顔が浮かんで胸がチクッと痛んだ。
「そういえば結月。高槻先輩ってバスケ部なんだよ。あっちのコートで練習しているんじゃない?」
未菜が急に高槻先輩の名前を出したからドキッとした。
そうなんだ、高槻先輩ってバスケ部だったのか。
陽人たちのコートの向こう側に高槻先輩がいるの?
急にドキドキしてきて、
「そ、そ、そうだったの?高槻先輩ってバスケ部だったんだ」
未菜への返事がたどたどしくなってしまい、顔が熱くなった。
「あれ?結月、顔が赤いよ。高槻先輩の名前に過剰反応?」
未菜のイジワルが発動。



