翔のお宅にお邪魔するのは長野から戻ってきた日以来だな。

玄関を見るとあの時の事を思い出す。

あの時、翔が私の誤解を解いてくれていなかったら、私は今ここに立ってはいないんだよね。

あの日、翔が初めて私を怒った。

怖かったけど、そこには翔の愛があった。

あれから私は翔を信じられるようになったし、きっと翔も同じ気持ちでいてくれると感じる。

私は繋がれた手にギュッと力を込めた。

「あれ、翔くん、もしかしてその子はこの前話してた子?」

急に後ろから声を掛けられて、私たちは同時に振り返った。

そこには洗車しているおじさんが立っていて、ニコニコと微笑んでいる。

「彩耶のおじさん、こんにちは。紹介しますね、俺の彼女の立花結月さんです」

私は慌ててお辞儀をした。