翔は「ん」と言って手を差し出したから、いつものようにその手を掴むと、
「いやん、結月ちゃん。今日は積極的なのね」
なんて翔が茶化すから、急に恥ずかしくなって手を引っ込めた。
「今日はそのキャリーケースとバッグを持ってあげるための手なの」
「そ、それなら先に言ってよ」
「あはははっ!!」
翔は大爆笑してるし。翔の意地悪。
翔と話しながら歩いているといつもは遠く感じる学校までの道のりがあっという間で。
もう学校に着いちゃった。
「翔、これ作ってみたんだけど。朝早く迎えに来てくれたから、お礼のお弁当。食べてくれる?」
「うわ、マジで?さっき結月これ作ってくれてたの?」
「うん。想定より翔が早く来たから少し焦った」
「マジでありがとう、結月」
「こちらこそ、カバン持ってくれてありがとう」



