「結月、ちょっと待ってて。絶対にここに居て。すぐ戻ってくるから。動くなよ」

急に翔が外に飛び出して行った。

私は閉まりかけた玄関のドアを少し押さえて翔の行く先を見ていると、向かいの家のドアをバンバン叩き、

「さやー!さやー!ちょっと来て、早く!」

そっか、お向かいの家が岡崎先輩の家なんだ。

本当にあの二人は幼馴染なんだね。

「うっさい、翔。何?こっちはさ、高速が大渋滞で今帰ってきたの。疲れてるんですけど」

不機嫌そうに玄関から出てくる岡崎先輩。

「彩耶、いいからちょっとウチに来て」

そう言って翔は岡崎先輩の手を掴んでこちらに帰ってきた。