駅の改札を出た所で、私が口を開いた。
「高槻先輩、手を離してください」
翔は何も答えてくれなくて。
「どこへ行くんですか」
それにも答えてくれない。
次に翔の口から発せられる言葉はきっと別れの言葉。
別れ?ううん、私はそもそも翔の彼女だったの?
翔の彼女は岡崎先輩でしょ。私、何を勘違いしていたの。
冷静にならなきゃ。翔の隣に居ていいのは岡崎先輩。
それでも、私にだって気持ちがある。翔に言いたいことが沢山ある。
今日が最後になるのなら、私の気持ちを伝えなきゃ。
それが翔にとって煩わしいことだとしても。



