「うん、私何してるんだろうね。教室に行こう。でも、この手は離してもらっても、いいかな?」
「だめ。手を離したら結月さん逃げ出すかもしれないし。離さない」
私を守ってくれようとしている友哉くんの気持ちを今は大切にしたいと思い、手を離すことはできなかった。
「ゆ、づき?」
私と友哉くんに気づいた高槻先輩から声を掛けられた。
俯いていた顔を高槻先輩に向けると、驚いたような顔をしていて。
軽く会釈をして通り過ぎようとしたその時、
「翔、私が言ったこと本当だったでしょ。あの子はそう言う子だよ。何人もの男と付き合って、最低な女!もう翔だって庇うようなこと言えないよね」
岡崎先輩の声が私の胸に突き刺さる。
私は俯くことしかできない。一言も声が出なかった。



