「友哉くん呼びに来てくれてありがとう。お弁当は教室に置いてあるの。取りに行かなきゃ」
「待って、結月さん。一緒に教室まで行きたい」
友哉くんはそう言って私の手を握って教室へと歩き出した。
「えっ?手・・・」
びっくりして友哉くんを見上げると、友哉くんの顔が赤くて。
「コホンッ」
と、ワザとらしい咳払いをした友哉くんの手が、少しだけ震えているのが伝わってきた。
「あそこにあの先輩たちがいるの知ってるんだよね?教室へ行くには目の前を通るしかないんだよ。結月さん一人じゃ通れなかったんでしょ。」
「・・・。」
「結月さん、涙を拭いて。結月さんが隠れることない」
そう言われて頬に手をやると涙が零れていた。



