婚約破棄3回された公爵令嬢の代筆屋

「で、リリィー、情けないことに、僕はリリィーの思考が時々分からなくなるんだ。教えてくれないか?」
 え?私の思考?結構単純で分かりやすいって言われるけど、分からない?
「リリィーの一番の目的は一体なんだい?3S男子を探すことかい?代筆屋を繁盛させることかい?それとも識字率を上げること?」
 ん?
 あ、あれ?
 私が市井で生活する目的って……。
「も、もちろん、3S男子ゲット……?」
 な、はずだよね?
 そ、その割に考えていることは識字率を上げる方法で、嬉しかったのはラブレターを注文してくれたお客さんが来てくれたことで……。
 あれ?

■21

 食事の後ライカさんに声をかけようと思ったけれど、忙しそうだったのでそのまま帰った。
 午後の営業。
 メニュー書きの依頼、名前書きの依頼。
 ラブレターは残念ながら午後は依頼が一件もなかった。
「リリィーの目的を考えたんですが……」
 え?
「代筆屋を成功させることに意義はあると思うんです。このようなちょっとした代筆ということが仕事になると知らしめるためにも。後進を育てるためにも適正価格をとエディが言っていたように。この店を成功させることが、他の街にも代筆屋を生む手助けとなるはずなんです。前例、しかも成功例があるかないかでは、まったく違うはずですから」
「そっか……。他の街でも代筆屋……うん、確かにできるといいね。店として成功させることっていうのは……?」
「しっかりと、儲けを出すことですね」
 儲けかぁ。
「リリィーはお金に困ってないから、儲けることへの情熱は薄いよね、だからこうしたらどうかな?代筆屋の売り上げで、識字率を上げるための施策を講じる。つまり、売り上げが上がればできることが増える。どう?頑張る気にならない?」
「なる!ありがとう、アル!売り上げ伸ばして、街に看板とか増やせるように頑張る!」
 目的がバラバラになって、何を頑張ればいいのか分からなくなった私に、アルはピッタリのアドバイスをくれた。あとは……。
「アル、3S男子ゲットするには、どう頑張ったらいいと思う?」
 首をかしげてアドバイスを求める。
 アルは、空色の瞳に笑顔を浮かべて言い切った。
「頑張らないのが一番」
 ん?
 どういう意味だろう?

「ねぇ、メイシー、頑張らなくても婚約者にふさわしい人が見つかると思う?」