だけれど、動いている一人を見て、誰かが手を貸そうとして、一人が二人、二人が三人、三人が……いつの間にか十人になり百人になり……。あくまでも小説だ。現実もそううまくいくとは限らない。
だけど……無力だと嘆いて、何もしないよりも、ダメかもしれないけれど何かした方がいい。
「メイシー、識字率を上げるための方法を一緒に考えてくれる?」
「もちろんよ、リリィー」
■19
「いらっしゃいませ」
次の日には、お店はすっかり元通りになっていた。私が帰った後も、アルが一人で直してくれたみたい。何かお礼しなくちゃ。
「ドナから聞いたよ、昨日は大変だったねぇ。うちも気を付けなくちゃと思ってさぁ。家族の名前書いてくれるかい?」
今日は、メニューに加えて、名前を書いてほしいという依頼も多い。
「ありがとうね。自分の名前くらい書けるように、見て練習しなくちゃね!」
そうか!
見本があれば、それを見て練習することができるんだ。
識字率を上げるには、まずお手本みたいなのが必要ってことだ。
私は、どうやって文字を覚えただろうか?
一番初めにかけるようになったのは……。あれ?覚えてないよ。
「ねぇ、アル、アルは一番初めに書けるようになった文字を覚えてる?」
客の切れ目に、アルに質問する。
アルは、お客さんが頻繁に来るようになってからは、お店では前髪を下ろして目元を隠している。
「さすがに小さなころなので覚えてないよ。たぶん、自分の名前だったんじゃないかなぁ、リリィーもそうだった。絵本で名前の文字を見つけると「あ、これ、リリのリだ」って嬉しそうに」
「え?私?」
なんでアルが私の小さいころのこと知ってるの?
「あ、ち、違う、リリィーじゃなくて、し、親戚の、そう、親戚の子の話だよ!」
「へぇー。アルには、リリィーっていう名前の親戚の子がいるんだ。偶然だね」
「うん、そう、偶然にも……。その子は、自分の名前を覚えた後は、アルってどういう字?って僕の名前を覚えてくれたよ」
アルが、幸せそうに思い出話を話し始める。
「それから、絵本を読んであげるたびに「アルのア、リリのリ」って見つけては笑ってた」
絵本かぁ。
そういえば、小さいころは絵本が大好きでよく読んで読んでとせがんでいたなぁ。
「しょうがないな、リリ、貸してごらん僕が読んであげるよ」
だけど……無力だと嘆いて、何もしないよりも、ダメかもしれないけれど何かした方がいい。
「メイシー、識字率を上げるための方法を一緒に考えてくれる?」
「もちろんよ、リリィー」
■19
「いらっしゃいませ」
次の日には、お店はすっかり元通りになっていた。私が帰った後も、アルが一人で直してくれたみたい。何かお礼しなくちゃ。
「ドナから聞いたよ、昨日は大変だったねぇ。うちも気を付けなくちゃと思ってさぁ。家族の名前書いてくれるかい?」
今日は、メニューに加えて、名前を書いてほしいという依頼も多い。
「ありがとうね。自分の名前くらい書けるように、見て練習しなくちゃね!」
そうか!
見本があれば、それを見て練習することができるんだ。
識字率を上げるには、まずお手本みたいなのが必要ってことだ。
私は、どうやって文字を覚えただろうか?
一番初めにかけるようになったのは……。あれ?覚えてないよ。
「ねぇ、アル、アルは一番初めに書けるようになった文字を覚えてる?」
客の切れ目に、アルに質問する。
アルは、お客さんが頻繁に来るようになってからは、お店では前髪を下ろして目元を隠している。
「さすがに小さなころなので覚えてないよ。たぶん、自分の名前だったんじゃないかなぁ、リリィーもそうだった。絵本で名前の文字を見つけると「あ、これ、リリのリだ」って嬉しそうに」
「え?私?」
なんでアルが私の小さいころのこと知ってるの?
「あ、ち、違う、リリィーじゃなくて、し、親戚の、そう、親戚の子の話だよ!」
「へぇー。アルには、リリィーっていう名前の親戚の子がいるんだ。偶然だね」
「うん、そう、偶然にも……。その子は、自分の名前を覚えた後は、アルってどういう字?って僕の名前を覚えてくれたよ」
アルが、幸せそうに思い出話を話し始める。
「それから、絵本を読んであげるたびに「アルのア、リリのリ」って見つけては笑ってた」
絵本かぁ。
そういえば、小さいころは絵本が大好きでよく読んで読んでとせがんでいたなぁ。
「しょうがないな、リリ、貸してごらん僕が読んであげるよ」


