婚約破棄3回された公爵令嬢の代筆屋

 ふぅっとエディが何かを思い出して息を吐いた。
 アルが、私の顔を見る。
「効果があるかどうか、生まれた子が成長するまで分からない。5年から10年は最低でもかかるだろう……。もし、際だった効果がなければ残念だけれど、リリィー……国を動かすことは……」
 うん。何となくわかった。
 エディもアルも、子供に名前を書いたものをあげるっていうことに反対じゃないってこと。でも、現状はすべての子供にという形が難しいことも。
 今は、領都ガッシュで識字率が上がり、それによって領都の発展にもつながるというようなことを証明しりしかないってこと。
 そもそも、私は国を動かそうなんて大それた考え何てなかった。
 ただ、文字で書かれた名前を見て笑顔になる人が増えればいいなって思っていただけだ。
 だけど、笑顔にするために、国を動かす必要があるというなら……。
 どうしたら識字率が上がるのか……もっと考えるよ!
 メイシーが、空になったカップに紅茶のおかわりを注ぎながら尋ねた。
「ところで、誰が領主様にこの件を伝えますか?」
 それは、私が!と言いたいところだけど、公爵令嬢だって隠してるし……。
 ちろりとアルとエディの顔を見る。
「僕から、言おうか?」「俺が言う」
 二人の言葉が重なった。
 ん、まぁ二人とも貴族っぽいから不自然はないけど……。一貴族の言葉が、宰相に伝わるまでどれくらいかかるのかな……。
 しぃーんとなる。
 で、結局誰がどうしたらいいのかとお互いがお互いをけん制しあっていると、メイシーが口を開いた。
「わ、私が。お手紙を書いていただければ、ロゼッタマノワールを通じて渡るように手配いたします。領主様は、ロゼッタマノワールのお得意様ですので」
 ナイスフォロー!メイシーありがとう!
「では、私が手紙を書きますわね!私の発案なのですから」

「聞いたよー、メニューをうちも書いてくれ。この板に頼めるか?」
 うむ。
 本日もメニューを書き書きしております。
 おかしい、ラブレターの依頼がない。宣伝方法が何か間違っていたのか?そうなのか?
「ありがとうございました!」
 二人目のお客様を見送ると、籠を抱えたドナさんがやって来た。
「いらっしゃいませ」
「あー、今日はお客じゃないんだ。改めてお礼を言おうと思ってね。これ、旦那のジョンから」