婚約破棄3回された公爵令嬢の代筆屋

「あー、分かる。申し訳なくて仕方がない気持ちになるよね……わざわざこんなどへたくその練習に付き合ってもらってごめんなさいって……」

■12

 今日は「代筆屋」の定休日。
 二人で、アルと二人で街を散策することにしました。
 店のドアから外に出ると、ライカさんの姿が見えた。
 丁度いいや!
「おはようございます、ライカさん!これ見てください!」
 店の看板の絵の案を書いた紙をライカさんに見せる。
「これは?」
「看板の案なんです」
「へぇー、お店って、文字を書くお店ね?」
 ライカさんが絵を見て、当ててくれた!
「そうなの!文字を書けない人のために、書いてあげる仕事なの!ライカさん、どの絵が一番分かりやすいと思う?」
 ライカさんは、絵の案の中から一つ指さした。
「んー、でも、私一人の意見じゃぁ心配だわ。ちょっと待ってて」
 ライカさんはそう言うと、食堂のドアを開けて店の中へ声をかけた。
「あにきぃー、ちょっと来て~!」
「何だ~?」
 すぐに、店の奥から熊のように大柄な男の人が出て来た。
「ラッ、ライカさんのお兄さん?」
 ライカさんは細くて目がクリンとしてるけど、お兄さんはがっしりとした体形で、目が細い。
「そうよ。あんまり似てないでしょ?ふふっ。見た目こんなんだけど、優しいんだよ」
 と、ライカさんがおかしそうに私の耳元で囁いた。そっか。優しいんだ。ライカさんはお兄さんが大好きなんだね。
「兄貴、正面の建物で新しく店を始めたリリィーとアルよ」
「初めまして、リリィーです」
 ぺこりとお辞儀をすると、ライカさんのお兄さんもつられるようにしてお辞儀を返してくれた。
「ライカの兄のレイモンドです」
 少しのんびりとした口調で、レイモンドさんが口を開いた。チャキチャキしたライカさんとしゃべり方まで似てないんだ。思わず笑みが漏れる。
「あのね、兄貴、リリィーさんたちが、お店の看板をどうしようか決めて欲しいんだって。どれがいいと思う?」
 レイモンドさんが、先刻ライカさんの選んだものと同じ案を指さした。
「うん、じゃぁ、これで決定ね!ありがとう、二人とも!」
「文字を書いてもらえるのか?その、値段は……?」
 レイモンドさんが早速興味を示してくれた!何、何、ラブレターを贈りたい相手がいるわけですか?