婚約破棄3回された公爵令嬢の代筆屋

 ん?噂を聞いて?
 噂話って、声に出して伝えるやつだよね。そうか!
 手紙がダメなら、口で伝えて回ればいいんだ!噂をすればいいんだ!
 って、噂ってどうすれば広まるんだろう?私とアルの二人で話をしながら街を回る?
 「ラブレター書きます!代筆屋です!」って言いながら街中歩くの?
 本格的な街歩きはまだ……怖いな……。
 それにアルは人見知りで、前髪で顔を隠してたんだ……。二人で街を回るのは無理そう。
 噂屋みたいな人はいないのかなぁ?居れば、依頼するのになぁ。
 何か、いいアイデアないかなぁ?と、考えている間にあっという間に時間が過ぎた。

 部屋に戻ると、メイシーが疲れた様子で出迎えてくれた。
「代読屋は休みだったけど、メイシーは何をしていたの?」
 こんなに疲れるなんて、何をしていたんだろうか?
「ダンスの練習……」
 うわー、ダンスか。私もメイシーも読書好きで体動かすのは得意じゃないからなぁ。そりゃ疲れるわ。
「相手がアル様なんて、もう緊張してどうにかなりそうでしたよーっ!」
 ふえっ?
 アルと、練習?
「メイシー、アルが相手だと緊張するって……もしかして、アルのこと……」
 メイシーはアルが好きなの?いや、だって、待って……。
 アルは山賊風だよ?メイシーの好みは王子なんじゃ……。ああ、でも、アルは本当はそこそこの貴族の令息みたいだから……。
 や、やだ、私、どうしたらいいんだろう?
 心がムズムズする。何、このムズムズ感。
 友達に好きな人ができたら、小説では……そう、応援だ。応援するんだ。
 どうやって?
「ひえーっ、ち、違いますよ!リリィー勘違いしないでっ、私がアル様のこと好きになるわけないじゃないですか!」
「そうなの?」
 ほっ。
 え?
 私、なんでほっとしてるんだろう?応援しなくてよくてほっとした?……そうだね。応援の仕方が分からないから、応援しなくていいのは助かるもんね?
「メイシーはどうしてアルとダンスの練習して緊張したの?」
 メイシーがうっと言葉につまる。
 何?もしや、山賊みたいな髭が怖かったとか言わないよね?
「えっと、そ、そう、す、すごくダンスが上手なんですよ!だから、ステップを間違えるのが怖くて緊張したんです……」