うおおお、ありがとうお母様!なぜかママンが私の味方に付いてくれたよ!絶対反対されると思ったのに!
 だって、貴族の一人娘が市井で生活なんて、いろいろ心配して許さないよね?
「公爵令嬢が、3度も婚約破棄されるなんて……かわいそうにリリィー。さぞや心を痛めていることでしょう」
 あ、うん。ごめん、お母様。
 むしろ、憧れの恋愛結婚へのチャンス到来って喜んでる。
「ろくでもない婚約者ばかり連れてくるお父様には期待できないのは当然です。お好きなようにしなさい。ただし、2年ですよ」
 ふあい!
「ありがとうございます、お母様!2年の間に、私3S男子をゲットしてみます!」
「3S男子?」
「はい!生命力、生活力、誠実さを持った殿方ですわ!」



 一人目の婚約者は、私の住むアンドゥール王国の第二王子だった。
 生まれた時には、すでに婚約が成立していた。
 王子が7歳、私が5歳の時、王子が病に倒れた。
「リリィー、僕、死んじゃうみたいなんだ。ごめんね。リリィーを幸せにできそうもない。婚約はなかったことにしよう……」
 と、王子に婚約破棄を言い渡された。
 その後王子は遠くへ病の療養へ行ったらしい。いまだ葬儀が行われていないということは死んではいないのだろう。

 私はウィッチ公爵令嬢。アンドゥール王国に3家しかない公爵家の一人娘だ。
 通常、婚約破棄された令嬢には、ろくな縁談話はない。
 だが、公爵家という家柄の私。
 王家からの口添えもあり、次の婚約者は別の公爵家の次男だった。
 我がウィッチ公爵家と並ぶ家柄。ダズリー公爵家の次男。

 婚約から2年目。
 二人目の婚約者が10歳、私が7歳の時だ。
「リリィー、ごめんね。僕の父上が不正を働いていたようなんだ。僕の家は没落するみたい。リリィーを幸せにできそうもない。婚約を解消してほしい……」
 これが2度目の婚約破棄である。
 その後、ダズリー公爵家は、爵位を落とされ伯爵になった。そして不正を働いた当主は投獄され、嫡男は廃嫡。元婚約者が10歳で伯爵家当主になったとか。

 通常、2度も婚約破棄された令嬢と婚約しようという者はいない。
 だが、私は公爵家の娘。しかも、婚約破棄の理由にこちらの非はない。
 次の婚約者はあっという間に決まった。もう一つの公爵家、フレリー公爵家の三男だ。

 婚約からやはり2年。