婚約破棄3回された公爵令嬢の代筆屋

「ええ、私はリリィお嬢様の手助けをするために来たのです。ですから、お嬢様のいないロゼッタマノワールの番頭はやめて、今日からこちらの店の番頭を務めます」
 えっと……。
「番頭って、店の帳簿を管理したりする人だっけ?」
「ええ、帳簿はもちろんのこと、領地運営で培ったノウハウで在庫管理から顧客獲得戦略、新規事業立ち上げ、何でもお手伝いさせていただきます!」
「領地運営?」
 エディが私の質問に一瞬だけ狼狽えた。
「とある領主の元で領地運営のお手伝いをさせていただいておりました」
「へぇー、そうなんだ。その若さで領地運営の手伝いをするなんて、エディは優秀なんですね。では、早速相談があるんですが……私もアルもお金勘定が苦手で……」
 とりあえず、お客様と話をするために用意した椅子に腰かける。私の隣にアル、向かいにエディという形だ。
「何なりと、お嬢様」
「あ、まず、そのお嬢様はやめてね。リリィーでいいわ。えっと、ガッシュの街にいる限り、身分の上下は考えないようにしましょう?店の経営に関しても、言いたいことが言いやすい関係の方がいいわよね?」
 エディは、ニヤリと口元に笑いを浮かべて、アルを見た。
「分かりました。”リリィー”がそうお望みなら、身分は関係なく勝負させていただきます。”アル”もよろしいですね?」
 やけに挑発的な口調で、アルに話しかけるエディ。
「ああ」
 アルがエディを威嚇してる?
 勝負って何?売り上げでも競うの?
 私も負けてられない!
「では、金勘定が苦手で生活力の低そうなアルにはお茶でも運んでもらおか?」
 というエディの言葉にアルが立ち上がった。
「いいでしょう。生命力あふれる鍛えた体の僕は、お茶を運ぶことなど容易ですからね!」
 あれ?にらみ合ってるようで、何だか私には分からない意思の疎通がなされてるみたい。
 もしかして、幼馴染とかなんか、仲良しさんだったりして?小説でもあったなぁ。いつも憎まれ口をたたきあってる親友とか。



 エディに代筆屋を始めることを説明して、料金設定をどうしたらいいの早速相談する。
「端的に言えば、パン1つ分の値段では無理ですね」
 そっか。がっくり。
「街で生活するのであれば、1日10セインあれば食べていける。パン1個1セインとして、10人客が来れば10セイン。食べることならできる」
「え、じゃぁ、」