婚約破棄3回された公爵令嬢の代筆屋

「そうですか!では早速開店準備をはじめましょう!」
 おや?すっかり殺気が書き消えたよ?それにやけに協力的?
「そうだ、リリィーは略奪愛にあこがれますか?」
「はぁ~?略奪愛~?そんなものにあこがれるわけないでしょっ!私の理想は、3S男子!生命力、生活力、誠実三拍子そろった人なの!簡単に心変わりする人に誠実さがあるわけないでしょ!」
 私の言葉に、アルはすっかりご機嫌。
 鼻歌なんて歌いながら店の掃除を始めた。
 略奪愛?いったいどういうことよ!
 ったく。
 愛の狩人って言ったって、人の彼氏奪ったりするわけないでしょ!
 あれ?
 待てよ?
 愛の代筆って……、ラブレターを代筆するっていうことは……。
 お客さん……皆、好きな人がいるってことになるじゃないのぉーっ!
 な、なんてことだ……。
 愛の代筆屋には、愛の狩人たる私の獲物はやってこないということか……。
 ぐあああーーーっ!
 なんたること!なんたることなのっ!
 両手で頭を抱えて、大きく左右に振ってると、アルがくすっと笑った。
 うぎょぎょーっ、ま、まさか!
 アルが機嫌がいいのは、愛の狩人が、獲物の来ない店を開こうとしてるのが滑稽で面白くて、笑っているというの?
 ぐぬぬぅ。見ていなさい!
 私、絶対に、3S男子をゲットしてみせるんだから!



「そろそろ部屋で休むわね」
 雑巾で拭き掃除を続けるアルに声をかけて、店のドアに手をかける。。
 ガシッ。
 アルが私の腕をつかんだ。
「そっちじゃないよ、リリィー」
 ん?
「リリィーの部屋、こっち」
 腕をつかまれたまま、引っ張られて行く。
 え?
 そっちって……。
 アルは店の奥の扉を開けて、階段を登り始めた。
「あ、あの、アル?」
 2階はアルの居住スペースだよね?
 私の部屋は、ロゼッタマノワールの2階に用意されてるはずなんだけど……。
 階段を上がると2階の廊下。3つ扉がある。
 えっと、アルが使っている部屋意外に余ってるから、私が休憩するための部屋とかあるよってことなのかな?
「ごめんね、ちょっと散らかってるけど……」
 一番奥まで進むと、アルが扉に手を掛けた。
 何?
 ふえっ?
 あ、あの、もしかして、私、アルの部屋に連れ込まれるの?
 ああ、そういえば、私……。男の人と二人っきりなんて……もしかして初めて?