【完】桜色の君を抱きしめたい

貴斗はテーブルに肘付き、少し残念そうに言った。

「残念そうだな」

「当たり前だろ」

「まあ、お前も俺と同じで少しほっとしている。だが、一緒に星を見たのは気に食わないな」

「なんだよ。あの都市伝説信じているのかよ。流石図書委員長。想像力が豊かだな」

「悪かったな。でも、あれは都市伝説とは限らないぞ?実際、林間学校の後、一緒に星を見た男女は本当にカップルになっている」

「へぇー。そいつは面白いな」

「俺は面白くない。だがな、佐伯さんが図書部のに入部した事によって、俺と佐伯さんは一緒に居る時間がお前より長くなる。もしかしたら都市伝説の噂は無くなるかもしれないな」

「へっ。なら俺は、都市伝説を現実にしてやるさ。別に部活以外でもアイツと関わることが出来る。兄貴より行動力があるからな。俺は」

「そう言ってられるのも今のうちだ。絶対俺に振り向かせて見せるさ」

「すいませーん。クリームブリュレとバニラアイス下さい」

凪の話は聞かないでデザートを頼み始めた貴斗。

「話聞けよ!?金出さないぞ!」

「怖...!こんな姿の兄貴、佐伯には見せられないな」

凪は貴斗に本当の事を言われて心にグサリと刺さって落ち込んだ。


「分かった。今のは黙っていてくれ...」

「りょーかい。すいませーん。フレンチトースト追加で」

「おい...!...あーもう。好きにしろ....」

貴斗の食欲に諦めを感じた凪。その後貴斗は凪の財布を食べるかのように食べ続けた。