「私の調査によりますと、彼は魔獣を傀儡(かいらい)にして軍隊を作り、ロスティに戦争をふっかけるおつもりだったようです。魔の森にいる全ての魔獣を手中に収めれば、勝算は確かにあるでしょうが……」

「そんなことをされたら、困るよねぇ」

「ええ。お嬢様が悲しみますね」

「そうなんだよ! 僕はね、エディタには幸せな結婚をして貰いたいの。だって、僕の大事な双子の姉(片割れ)なんだから。だからね? おじさんのこと、全力で潰してあげるよ」

 ──ボッボッボッ!

 ミハウの指先から炎がいくつも生まれて、ひとかたまりになる。

 炎は狼の形になると、鋭い牙を剥き出しにしてマルゴーリスに飛び掛かった。