ロキースは、それはもう清々しい笑みをエディに向けると、彼女を見つめたまま、彼女にだけ聞こえる声で囁いた。

 体を屈めて顔を近づけた二人は、傍目から見ればキスをしているようにも見えたかもしれない。

 丸窓から「はぁぁぁ?」とミハウの怒りの声が聞こえたが、ロキースは無視を決め込んだ。

「屋敷の最上階にある丸窓。あそこでミハウが鍵を壊すから寄越せと言っている。エグレが、きみならここまで飛ばせるはずだと言っているが……出来そうか?」

「丸窓?」

 エディがチラリと上階を見上げると、ミハウと目が合った。

 ギリギリと歯軋りしているような不穏な視線は、遠く離れたここまでしっかりと届く。