エマに、恋をしていたのだろうか。

 彼女の最期の願いを叶えて、彼女との繋がりがなくなってしまったような、そんな気持ちなのかもしれない。

 ヴィリカスは何も言わない。

 もうエディのことなんてどうでも良いみたいに、背を向ける。

 エディは、エマとヴィリカスの関係がどんなものなのか知らない。

 だけど少なくとも、言えることが一つある。

「おばあちゃんは、愛情深い人です。きっといつまでも、あなたを想っている」

 無責任な言葉だ。
 だけど、どうしても言いたかった。

 魔狼の尻尾が一振りされる。

 大きくブンと振られた尾は、礼を言っているように見えた。