クワを持つロキースの手つきは、熊が川で鮭を岸へ放り投げるような感じで危なっかしい。

 エディは本職じゃないから正しい持ち方なんて分からないけれど、少なくとも、クワは横じゃなくて縦に振るものだろう。

(クワっていうより、カマみたいな使い方なんだよなぁ。まぁ、一応耕せてはいるみたいだし、いっか)

 楽しそうに農作業に励むロキースに、エディは口の中で「かわいい」と呟く。

 彼のことをかわいいと言うのは、もう何度目だろう。

 何事にも一生懸命で、かわいくて仕方がない。

「どうしてこの家の周りは、暖かいままなの? もうすぐ、冬がくるのに」

「あぁ。この家の周辺は、俺の縄張りだからだ」