(なのに、どうして──?)

 どうして、こんなに嬉しいのか。

 誰にも知られないようにしてきた、エディの中では恥ずかしい歴史なのに、嬉しくてたまらない。

 勝手に赤らむ頬を隠したくて、エディは持っていたクッキーを口に詰め込むと、ソファの上で膝を抱えて、顔を(うず)めた。

(あぁ、もう。本当に困る。この人はどうして、人の弱いところを付け入ってくるのだろう)

「好きになっちゃいそうじゃないか……」

 困り果てて思わずポロリと呟けば、「え⁉︎」と声が返される。

 そろりと視線を上げてみると、ロキースが期待に満ちた目でチラチラと見ていた。

 その姿に、恐ろしい熊という印象は全くない。相変わらず、メルヘンなイメージのクマさんである。