「……!」 息子と、夫と。 そして、懐かしい面影の、あの人。 「陛下!」 鏡の間を封じる兵を、息子に呼ばれているようだと言いくるめて、私は城の階段を駆け下りた。 まさか…… まさか、あの人が…… あわや公開処刑とも見える現場に辿り着く前に、私は息を整えた。なぜなら私は王妃であり、クーデターを起こした王太子エイベルの母親だ。息子の正当性を示すためにも威厳をもつべきだった。 「頼む、命だけは助けてくれ……!」