「あなたはいずれ私の甥か姪のじぃじ(・・・)になる御仁です。清々しくも芳しい初秋の日に、家族団欒のピクニックや弟お抱えの楽団や道化師たちと、牧歌的かつ芸術的な休息をとって頂きたいと思ったまで。親切心ですよ」 「仕事があります」 「どんな時も、職務を全うできる環境が守られるわけではないのですよ」 鋭利な煌めきを瞳の奥に見て、息を呑んだ。 今、この城で、なにかが起ころうとしている……。