窓から愚息と可愛いイーリスの燥ぐ姿を見おろして、虚無を感じた。 「……」 「ふむ。やはりイーリス嬢はやや丸みがあっても可憐でしたが」 まるで砂にでもなったような気分だ。 王妃アレクサンドラという砂の像が、風に吹かれてサラサラと崩れて消えそう。 「痩せると城映えしますね。実に可憐で美しい」 政略結婚をして世継ぎを産んで、私は務めを果たした。 敵国同士が協力関係を結び、外交も順調、もう余生を楽しめばいい。