「おっほん」 「……」 王妃が威厳たっぷりに咳払いして、私を見つめた。 小部屋に呼び出された私は、これはおやつじゃないなと警戒していた。 王妃の隣に、見知らぬ男性が佇んでいる。 「イーリス。彼はクロード」 「はい」 黒髪にキリリとした目。 冷たい雰囲気があるけど、悪い人ではなさそうだ。 「今日から宮廷に住み込みで勤めてもらう、医師です」 「はい」 「どう思うか言ってごらんなさい」 「宮廷内の女性が喜ぶと思います。とても素敵な男性ですので」 「ふっ」 王妃が笑った。ご満悦だ。