「進藤ってさー、ほんと素直というかなんというか。間に受けてないって言ってたけど、あれはちょっと信じてたね」

「そう言えば進藤には創太のこと言ってなかったしな。でもあんだけしょっちゅう3人で一緒に飲みに行ったりしてたのに、そんな私がいつ子供産めると思うんだろ」

ほんとほんとー!と奈美が笑う。

進藤は営業部でも常にトップクラスの成績なだけでなく、少し茶色がかったふわふわの髪にぱっちり二重、身長も180センチ越えという、どこぞのアイドルにも負けていないルックスの持ち主のため、社内のみならず取引先にもファンがいるという話だ。

性格も人懐っこく、誰に対しても分け隔てなく接することができるので、ファンが多いことにも頷ける。

私と奈美と進藤は同期で仲が良く、しょっちゅう3人で飲みに行っていた。
今も予定が合えばたまに行く。

それもあって、よく社内の進藤に恋する女子たちから「進藤さんと付き合ってるんですか⁉︎」と聞かれることが多く、何度「ただの同期で友達です」と言ってきたことか…

今も受付の女の子たちが進藤を見つけて駆け寄って行った。


それにしても、いつどこで誰に見られているかわかったもんじゃない。

数日前から私がシングルマザーだという噂が立っていたのは知っていた。

まさか噂の出どころが営業部の仁科くんだったとは。

別に見られて困るものではないが、変な噂は立てないでほしい。

「今日創太のお迎え頼まれてるから、定時に上がれるように仕事片付けなくちゃ」

「うん、午後も頑張ろー!」

食べ終えた食器を下げるために奈美と一緒に席を立った。