内心ドキドキしながら蒼介さんの方を見ると、

「げ」

と呟いて、ピ、と通話を終了した。

何だろう、誰だろう。

蒼介さんの、元カノ……とか……?

なんて心配は一瞬で杞憂に終わった。


「……芽衣子。悪い。姉貴が来た」

……姉貴……

って、蒼介さんのお姉さん⁉︎

ということは、あの合鍵に付いてるクマのキーホルダーをくれた、姪っ子ちゃん(6歳)のお母さんでもある訳で……


「……えぇ〜っ⁉︎」


蒼介さんとお付き合いを始めて6ヶ月。
同棲を始めてからは2ヶ月。

蒼介さんのお姉さんにはまだ一度も会ったことが無かった。

理由は簡単。
蒼介さんが会わせてくれなかったから。

いつだったか、姉貴が芽衣子に会わせろってしつこい、と蒼介さんから聞いた時。

ぜひお会いしたいです!と言った私に蒼介さんは、

「あいつ、すげーうるさいんだよ。しかも芽衣子のこと気に入って離さないと思う。それに絶対芽衣子にベタ惚れの俺をいじり倒すに決まってるし。どっちもすげーヤダから当分会わせない」

と言ったのだった。

その時の、すげーヤダ、と言った蒼介さんのちょっと拗ねたような顔が可愛いくて、思わず笑ってしまったっけ。