不安の涙はすっかり止まっていたものの、今度は嬉し涙が次から次へと溢れて来て、泣き笑いみたいになる。
温かい、幸せの涙。

ああ、もう、この人は何でこんなにも私を優しく包み込んでくれるんだろう。不安な気持ちも全部、丸ごと。
ああ、この人が愛おしい。

「…芽衣子、返事は?」

そんなの決まってる。

「…はい!よろしく、お願いします…!」

そう答えた途端、「おおー!」「ヒューヒュー!」「マジかー!」「東さーん…」「…きゃー!」
色んな声が飛んできて、びっくりして蒼介さんから離れる。

…何⁉︎と思って入り口を見れば、いつの間にお開きになったのか、見慣れた顔たちが居酒屋から出て来ていた。

予想外のことに、顔が真っ赤になる。赤い顔を冷ましに来たはずなのに、来た時よりも真っ赤に染まる。

「…お前ら、そう言うわけだから、芽衣子には手を出すなよ?」

ニヤリ、と意地悪く微笑んで、蒼介さんは釘を刺す。