「…東?寝ぼけてる?」

「…⁉︎すすすすすみません!」

「いや、むしろ俺はラッキーだけど」

ドキッとしたが、平静を装いそう言ってニヤリと笑う。

怖い夢でも見た?と問うが、東は答えない。
それ以上深くは問わず、東の頭をポンポンっとする。
この後2人で夕飯でもと思ったが、今日は帰した方が良さそうだ。

「送ってくれてありがとうございました」

そう言って車を降りる東に、また月曜日に、と声を掛ける。
ドアが閉まる直前、どうしても言いたくなった。…東、俺はどこにも行かないよ?  
東に届いただろうか。俺はもう東から離れられない。東から離れていかない限り、俺は離れてなんてやらない。やっと手の届くところまで来たんだ。もう手放せないー

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週が明けて月曜日。
進藤が何か仕掛けて来るとしたら今日だと思っていた。先週の金曜日、あんな形で電話を終えたから進藤はたぶん俺と東の関係を勘違いしている。まあ、勘違いして諦めてくれたらそれでいいのだが、おそらく進藤は東に金曜日の真相を確かめに来るだろう。聞かれたら東は本当のことを答えるはずだ。それを知った進藤がどう出るか…できれば2人きりの状況を作りたくはない。