マロンクリームの王子さまは、わたしのことが好きみたい!?

「食わんでもわかる」
「え?」

 わたしと先輩が同時に口を開いた。

「まだ桜が咲いていたころ、桃花が口にクリームをつけて、学校から帰ってきたことがあったじゃろ?」
「えっ、もしかしてそれ……はじめて先輩のお店に行った日……」
「それをわしは舐めたんじゃ。だからおいしいことはわかっとる」

 おじいちゃんは深くため息をつく。

「あんなにおいしいものを食べたら、桃花はわしのせんべいなど見向きもしなくなるじゃろう。そう思ったから、なおさらあんなもの、桃花に食べさせたくはなかったんじゃ」
「おじいちゃん……」

 すると先輩がぽつりとつぶやいた。

「ちがいます。それはおれの親父が作ったクリームだから。おれが作ったクリームじゃありません」

 わたしはとなりに立つ先輩を見上げた。
 先輩は真剣な顔つきでおじいちゃんを見つめている。

「おれ、ちゃんとおじいさんに認めてもらいたいから……だからちゃんと、おれが作ったケーキを食べてください」

 先輩の声に、おじいちゃんが顔を上げる。
 先輩はまっすぐおじいちゃんを見ている。