マロンクリームの王子さまは、わたしのことが好きみたい!?

「おはようございます!」

 ドキドキしているわたしのとなりで、千彰先輩が元気よく挨拶をして店に入っていく。
 わたしはこそこそと先輩のあとにつづく。

「あら、おはよう」

 開店準備をしていたお母さんが驚いている。
 お父さんもぽかんとした顔で先輩とわたしの顔を見つめる。

「今日はケーキを持ってきました。あ、お父さんとお母さんの分もあるんで、あとで食べてくださいね」

 千彰先輩はにっこり王子さまスマイルでお母さんたちに言った。

「あらあら、それは楽しみだわ」

 お母さんは喜んでいるけど、お父さんは微妙な表情だ。
 でも先輩は気にせずにずんずん店の奥の、作業場のほうへ入っていく。
 おじいちゃんがいつもおせんべいを作っている部屋だ。

「桃花のおじいさん!」

 千彰先輩の声に、作業の準備をしていたおじいちゃんが顔を向けた。
 ものすごく不機嫌そうに。

 じつは昨日から、わたしもおじいちゃんと話をしていない。
 わたしはさらにドキドキしながら、先輩のとなりに立つ。

「今日はおれの作ったケーキを持ってきました。騙されたと思って、ひとくちでもいいから食べてください!」

 千彰先輩がずいっとケーキの箱を差しだす。
 しかしおじいちゃんはすぐに顔をそむける。

「いらん」
「まぁ、そう言わずに。おれ、いっしょうけんめい作ったんです!」
「いらんと言ったらいらん!」
「おじいちゃん!」

 わたしは横から口を出した。