マロンクリームの王子さまは、わたしのことが好きみたい!?

「桃花」

 おじいちゃんがわたしに言う。

「あれほど、西洋の菓子を食べてはならんと言ったはずじゃが」

 わたしはスカートの裾をぎゅっとにぎる。
 そして思いっきり顔を上げて言い返した。

「ごめん、おじいちゃん。わたしおじいちゃんの言いつけ、ずっと破ってた。でも先輩のお店のケーキも、先輩が作ったケーキも、すっごくおいしいんだよ。おじいちゃんも食べてみれば……」
「いい加減にせんか!」

 おじいちゃんが怒鳴る。

「西洋の菓子など食べてはならん! そんな男ともつきあうな! 桃花はわしのせんべいだけ食べておればいいんじゃ!」
「い、いやだ! 先輩とは別れない! もうおじいちゃんのせんべいなんか、一生食べない!」

 わたしの声に、おじいちゃんの顔色がさっと青ざめる。

「桃花……」

 お母さんとお父さんの声が聞こえたけど、わたしはそのまま店の外へ飛びだした。