マロンクリームの王子さまは、わたしのことが好きみたい!?

「この前の彼氏じゃな」
「あら、おじいちゃんは知ってたんですか?」

 お母さんの声におじいちゃんは答える。

「ああ、商店街で会ってな。あのときは桃花が『つきあっとらん』などと必死に言い訳しておったが……」
「あっ、あのときとは状況が変わって……」

 わたしの声を先輩がさえぎる。

「おじいさんが『鹿子家』の、有名な職人さんだったんですね!」

 先輩はおじいちゃんを、あこがれのまなざしで見つめながら言った。

「おれ、ってか、おれの家族全員、『鹿子家』のせんべい大好きなんです!」

 おじいちゃんの表情がすこしやわらかくなる。
 おせんべいを褒められて、うれしいんだ。

 だけどその表情が、次の瞬間、一気にくずれた。

「おれんちケーキ屋で、いっつもあまいもんばっかり食ってるから、おやつにせんべいが出ると妹と取り合いになって……」
「ケーキ屋?」

 おじいちゃんの低い声が響く。

「わー! ちがうちがうっ! ケーキ屋なんて言ってないよ!」

 あわてるわたしのことを、先輩がきょとんっとした顔で見る。

「は? なに言ってんだよ、桃花。おれんちはケーキ屋だろ? うちのモンブラン、いっつも食ってるじゃん」

 あ、終わった。