マロンクリームの王子さまは、わたしのことが好きみたい!?

「え、桃花んちって……ここ!?」

 商店街のビルとビルの間に、どっしりと建っている古いお屋敷のような店。
 看板には書道風の文字で、『鹿子家』って書いてある。

「『鹿子家』……あっ、そうか。鹿子桃花って『鹿子家』の娘だったのか!?」

 千彰先輩がおおきな声で叫んだ。

「あの、うちの店のこと知ってるんですか?」

 おそるおそる聞いてみると

「もちろん知ってるよ!」

 と先輩が答えた。

「『鹿子家』って、あの有名なせんべい屋だろ? 日本全国から客がやってくるっていう。ネットでも見たし、テレビでも特集してたじゃん!」

 そう。うちの店はけっこう有名なんだ。

「おれの親父も言ってるよ。鹿子家のせんべいはうまいって。おれもそう思う!」
「え、先輩、うちのおせんべい食べたことあるんですか?」
「ああ! 母さんがときどき買ってきてくれるからな」

 え、千彰先輩のお母さん、うちのお客さまだったんだ。

「あっ、じゃあこの前会ったじいさんが、有名なせんべい職人か!」
「まぁ……そうですね」
「すっげー! 入っていいか? おれ、せんべい買って帰りたい!」
「あ、は、はいっ、どうぞ」

 千彰先輩がこんなに感動してくれるとは、思ってもみなかった。