マロンクリームの王子さまは、わたしのことが好きみたい!?

「おいしー!」

 思わず声を上げてしまったわたしを、千彰先輩が見つめる。

「ま、まじで?」
「はいっ! いままでのなかで、一番おいしいマロンクリームです!」

 先輩は「くっ」っとうつむき、小さくガッツポーズをした。

「ありがとう! 桃花のおかげだ!」
「ひっ!?」

 気づくとわたしは先輩に、ぎゅうっと抱きしめられていた。

「せ、せんぱい……」

 く、苦しいです……

 すると先輩がハッと気づいたように、わたしから離れた。

「あっ、悪い。ついうれしくて……」

 すぐ目の前に見える先輩の顔が、なんとなく赤くなっている。
 でもたぶん、わたしの顔もおんなじはず。

「なぁ、桃花」

 すっと視線をそらしたわたしに、千彰先輩が言う。

「おれ、桃花が応援してくれたから、ここまでがんばれたんだ。桃花がいなかったら、とっくにあきらめてた」

 わたしはテーブルの上に並んだ、千彰先輩の作ったモンブランを見下ろす。

 はじめて食べたときとは、見た目も味もぜんぜんちがうモンブラン。
 ふたりで協力して、こんなにおいしくなったんだ。

「だからこれからも……桃花といっしょにいたいんだ、おれ」

 千彰先輩の手がわたしの手をにぎった。
 わたしの心臓の音がドキドキと速くなって、息が苦しい。

「桃花……おれと、つきあって?」

 耳元でささやかれる先輩の声は、いつもよりずっとあまかった。
 あまくてとろんっととろける、マロンクリームみたいだった。
 だからわたしは、そんな先輩の前で、こくんっとうなずいてしまった。

「わたしも……ほんとはずっと……千彰先輩といっしょにいたいです」

 恥ずかしくてたまらなかったけど、ゆっくり顔を上げたら、わたしの前でうれしそうに笑っている先輩の顔が見えた。