マロンクリームの王子さまは、わたしのことが好きみたい!?

「マロンっていう猫がいたんだけど……死んじゃったんだ、病気で」

 わたしは先輩の横顔をちらっと見る。

「で、千尋が泣いて泣いてしょーがねぇからさ。あの野良猫拾って、家で飼おうって決めてて……」

 それで千彰先輩はいつも、公園で猫と格闘してたんだ。
 千尋ちゃんのために。

「千尋ちゃんうれしそうだし、あの猫も先輩の家に拾われてよかったと思います」

 わたしが言ったら、先輩がこっちを見た。
 そしてちょっと照れくさそうに髪をくしゃっとかきあげ、あのかわいい笑顔を見せる。

 わたしの心臓がドキッと跳ねた。

「じゃ、じゃあわたしはこれで!」
「ちょっと待て! さっきの返事聞いてねぇ!」

 千彰先輩がわたしの腕をつかむ。
 わたしがびくっと振り返ると、先輩はその手をゆるめてつぶやいた。

「まぁ、ちょっと上がってけよ。ケーキ食わせてやっから」

 ケーキ……

 心はすぐにでも逃げだしたかったのに、お腹はぐうっと正直な音を立てた。