マロンクリームの王子さまは、わたしのことが好きみたい!?

「桃花ー」

 その日の昼休み、いつものように堂々と前のドアから千彰先輩がやってきた。

 最初のころはいちいちキャーキャー騒がれていたけれど、最近はみんなあたりまえのように思っている。

『最初だけだ。そのうちみんなあきらめて、おれたちのことなんか気にしなくなる』

 先輩のあの言葉は正しかった。
 でも一部のひとたちは、やっぱりわたしのことを認めていない。
 今朝の、美咲先輩たちのように。

「ごめん! わたしはいないって言っといて!」

 藍ちゃんと香奈ちゃんにそう告げて、わたしはお弁当の包みを抱え、後ろのドアから飛びだす。

「え? 桃花?」
「どこ行くのよ!」

 藍ちゃんたちの声が聞こえたけれど、振り向かないで走った。

 先輩とはもう、いっしょにお弁当なんて食べられない。