マロンクリームの王子さまは、わたしのことが好きみたい!?

「そういうこと言うの、やめてください!」
「大勢で桃花を責めるなんてひどいです!」

 わたしは泣きそうになりながら顔を上げる。

「香奈ちゃん、藍ちゃん……」

 ふたりがわたしをかばってくれた。

「たとえニセ彼女でも、桃花は千彰先輩に選ばれたんです! 文句言わないでください!」

 美咲先輩たちは、みんなぼうぜんとしている。

 香奈ちゃんと藍ちゃんはわたしの腕を両側からがしっとつかみ、そのまま廊下を走って、一年生の教室に駆け込んだ。

「はあっ、はあっ」

 三人で丸くなって息を切らす。

「こ、怖かったぁ」

 藍ちゃんがもらす。

「で、でも言いたいことは言ってやった」

 香奈ちゃんがにやっと笑う。

「香奈ちゃん、藍ちゃん……ごめん」
「桃花が謝ることないよ」
「そうそう。あの先輩たちひどすぎるよ。桃花の悪口ばっか言って」

 けれどわたしはうつむいた。

 だって……わたしが先輩に似合わないのは、ほんとうのことだもん。

「桃花? だいじょうぶ?」
「う、うん……」

 だけどその日はなんとなく元気が出なかった。
 千彰先輩のやわらかそうな髪や、きれいな瞳や、やさしい笑顔を思い出すと、冴えない自分がすごく嫌になる。

 わたしは千彰先輩の彼女はもちろん、ニセ彼女でさえふさわしくない女の子なんだ。