マロンクリームの王子さまは、わたしのことが好きみたい!?

「そんなことないですよ! 千彰先輩のモンブラン、ちゃんとおいしくなってます! もっとうまくなって、先輩の作ったモンブラン、胸を張ってみんなに食べてもらいましょう!」

 お父さんみたいになりたいと言った、千彰先輩。
 いつかぜったいなれるよ。わたしは先輩を応援してる。

 ぎゅっとにぎった手に力をこめると

「桃花……」

 先輩がじっとわたしを見た。

 吸いこまれそうにきれいな瞳。
 春風にゆれるマロンクリーム色の髪。

 ああ、千彰先輩ってやっぱり『マロンクリームの王子さま』なんだ。
 あんまり近くにいすぎて、つい忘れてしまうけど。

「桃花! なにをやっとる!」

 びくっと肩をふるわせ、わたしはパッと先輩の手を離した。
 だってそこにいたのは……

「おじいちゃん!」

 わたしたちはいつのまにか、商店街まで来ていたんだ。
 おじいちゃんはずんずんと大股で、わたしたちのそばに近寄ってくる。

「おじいちゃん?」

 千彰先輩がつぶやいて姿勢を正した。そんな先輩とわたしの前に、おじいちゃんが立ち止まる。

「桃花! 誰じゃ!? この男は!?」

 おじいちゃんの声が商店街のなかに響く。
 近くのお肉屋さんや八百屋さんのおじさんやおばさんが、なにごとかとこっちをながめている。

「あら、あれは鹿子家さんちの桃花ちゃんじゃない?」

 なんて言いながら。

 うわ、恥ずかしいよぉ。
 するとわたしより先に、先輩が答えた。