マロンクリームの王子さまは、わたしのことが好きみたい!?

「あとつけられてる」
「へ?」
「うちのクラスの女どもに」

 ちらっと後ろを振り向くと、わたしたちと同じ制服を着た女子生徒のグループが、さっと街路樹の陰にかくれた。
 そのなかに、美咲先輩がいるのも見えた。

「おれたちがつきあってること、まだ疑ってるやつらがいるんだよ。だからちゃんとつきあってるって証明しねぇと」
「はぁ……」

 わたしは先輩とつながりあった手を見下ろす。

 先輩が女よけ対策に必死なのはわかるけど……やっぱりこれ、恥ずかしいよ。
 だってわたしたちは、ほんとうにつきあってるわけじゃないんだし……

 だけど先輩は離してくれそうにないから、しかたなくわたしは手をつないだままつぶやいた。

「あの、今日はシュークリームをありがとうございました」

 先輩は今日も、お店のシュークリームをうちのクラスに持ってきてくれたんだ。

「みんなおいしいって、喜んでましたよ。千彰先輩ってケーキ作りも上手なんだぁなんて言っちゃって……」
「おれが作ったんじゃないって、ちゃんと言ったか?」

 先輩はちょっと元気のない顔でつぶやく。

「言っていいよ、そこはほんとのこと。ケーキ屋の息子のくせに、ケーキ作りの才能ゼロだもんな」

 そう言って先輩は、なんだかさみしそうに笑った。

 わたしは足を止め、がしっと先輩の両手をつかんだ。
 先輩はおどろいた顔でわたしを見る。