マロンクリームの王子さまは、わたしのことが好きみたい!?

「やっぱり千彰先輩ってやさしいじゃん」
「どこが暴君なのよ?」

 ふたりに責められ、わたしは答える。

「ほんとなんだよ。いつもはあんなにやさしくないし」

 だけどふたりはもう、わたしの話なんか聞いてない。

「見て! プリンが入ってる! こんなにたくさん!」
「これ、先輩手作りかなぁ!?」
「食べちゃおう!」

 香奈ちゃんと藍ちゃんがさっそくスプーンでひとくち食べる。

「うわっ、おいしー」
「やだー、お口のなかでとろっととろけるー!」

 きっとそれ、先輩が作ったやつじゃないよ。

「えー、なになに、千彰先輩の作ったプリン!?」
「私も食べたいー」

 クラスの女の子たちがどんどん集まってくる。

「千彰先輩って、ケーキ作りも上手なんだね! さすが『マロンクリームの王子さま』!」
「いいなー、桃花は。あんなステキな彼氏がいて」
「ほら、先輩が待ってるから早く行ってきな!」

 わたしはみんなにほんとうのことが言えず、苦笑いしながら先輩の待つ廊下へ出た。