マロンクリームの王子さまは、わたしのことが好きみたい!?

「うわー、やばいね、これ」
「みんな桃花を見に来てるわけ?」
「帰れないじゃん、あたしたち」

 教室の前の廊下は人だかり。
 わたしは藍ちゃんと香奈ちゃんの陰にかくれて、縮こまっている。
 こんな大勢の見ているなか、堂々と教室を出ていく勇気はないよ。

「みんな帰ってくれそうにないね……」
「どうする? このままじゃあたしたち一生ここから出られないよ」

 香奈ちゃん……それは大げさだけど……

「ごめん……わたしのせいでみんなまで……」

 しょぼんとつぶやいたとき、廊下のほうから聞きなれた声がした。

「桃花!」

 わたしはハッと顔を向ける。

 教室の入り口で、みんなの視線を浴びながら、にこやかな笑顔を見せているのは……千彰先輩!?

「いっしょに帰ろう」

 先輩がわたしに向かって言った。
 まわりの女子生徒たちが、千彰先輩に注目している。

「よ、よ、呼ばれてるよ、桃花。千彰先輩に」

 藍ちゃんが震えながら、わたしの腕をつついた。
 わたしはふらふらと立ち上がる。