マロンクリームの王子さまは、わたしのことが好きみたい!?

「でね、千彰先輩って、すっごい口が悪くて、女嫌いで、作ったケーキもまずいの!」

 しかし最後の言葉を聞いたふたりは、一気に顔をしかめた。

「それはないでしょ? 千彰先輩は『マロンクリームの王子さま』だよ?」
「そうそう。態度も話し方も、いつもやさしいじゃん」
「だからそれは営業スマイルで、実は暴君なんだってば」
「うそだぁ、そんなわけないよ」
「でもニセ物の彼女って話は信じる。桃花が先輩とつきあうなんて、ありえないもんね」

 香奈ちゃんと藍ちゃんが顔を見合わせてうなずく。

 そこは納得してくれるんだ。そりゃそうだよね。

 顔だけはキラキライケメンの先輩と、チビで地味でガキっぽいわたしとじゃ、ぜんぜん釣り合わないもん。
 先輩に釣り合うのは……美咲先輩みたいなイケてる女のひとだ。

 そのあとチャイムが鳴って、集まっていた生徒たちも自分の教室に帰っていった。
 わたしはほっと息をつく。

 でもそれはほんの束の間で、放課後にはさらにたくさんのひとたちが、うちの教室をのぞきに集まってきた。