マロンクリームの王子さまは、わたしのことが好きみたい!?

「うるせぇ、もう決めたんだ! あんたは今日からおれの彼女! わかったな!?」

 うそでしょ……横暴すぎる。

 泣きそうになっていると、先輩はわたしが持つ包みを指さし、聞いてきた。

「それ弁当か?」
「え、あ、はい」
「じゃあここで食え」

 わたしはちらっと先輩を見る。

「せ、先輩のお弁当は?」
「教室にあるけど、取りに行くの面倒だからもういい。おれ、寝てるから、気にせず食えよ」

 そう言って先輩はベンチに寄りかかり目を閉じる。

 しかたない。
 ほんとうは屋上で食べたかったんだけど、逃げたらなんか怒られそうだし……

 わたしはおずおずと包みを開き、お母さんが作ってくれたおにぎりを取りだす。

「これ……よかったら食べます?」

 先輩が薄目を開けて、わたしを見る。

「いらねーよ。あんたのだろ?」
「大丈夫です。あと三個あるので」

 その言葉に、先輩が目を見開いた。

「あんた……おにぎり四個も持ってるのか?」
「はい。おかずもあります。だから一個どうぞ」

 卵焼きやウインナーの詰め込まれたおおきなお弁当箱を見せると、先輩はちょっとあきれた顔で、おにぎりを受け取った。

「じゃあ、遠慮なく。てか、あんたっち貧しいんじゃ……」
「ちがいますよ。普通の家庭です」
「でもケーキ買ってもらえないって、言ってたよな?」
「それは……いろいろ事情があるんです」

 先輩は不思議そうに首をかしげてから、おにぎりを口にする。
 そしてもぐもぐ噛んで飲み込むと、また目を見開いた。